桜桃の味
桜桃の味 (1997年 イラン)
Ta'm e Guilass
(監督:アッバス・キアロスタミ/出演:ホマユン・エルシャディ、アブドルホセイン・バゲリ)
あらすじ。自殺の手伝いをしてくれる者を探して旅する男と、その姿を通して生きることの意味を問うドラマ。第50回カンヌ国際映画祭、パルム・ドール受賞。バディは、報酬とひきかえに自殺の手伝いをしてくれる者を探してテヘラン近郊を彷徨っていた。クルド人の若い兵士、アフガニスタン出身の神学生、トルクメン人の剥製師と次々に出会うが、3人とも全く異なる理由でバディの申し出を断ろうとする。果たしてバディの計画は成功するのか?
これさあ。終始淡々としてまして、最後の最後まで、何でパルムドール受賞作なのかイマイチわからなかったんですよね。普通に、ああやっぱりそうなのねと。別にいいんですけどやっぱりそう終わるのねと。すると、一度暗転した映画がまた明るくなり…。そこで一瞬にしてなるほど!と唸らされるわけです。あの発想はすごいよな。オチの付け方が目からウロコで感動しましたね。それもなんというか、不思議な感動。なんなんですかねこれ。かなり暗い映画なのに、観終わった後、「よーしまた明日から頑張るか!」と思う不思議(笑)。
ユングとか死と再生云々なんてさっぱりわかりませんけど、結局、例えば誰かに桜桃の味についてどんなに力説されたって、頭で想像するには限界があって、自分が味わってみなきゃわからないわけで(なんか違う?)。でも、それを理解するにはある程度歳を重ねることと、経験が必要なやよなと。学生の頃、どんなに勉強しろ勉強しろと呪文のように言われても、本能的に逃げたくなるのと一緒で。だいぶ違うな(笑)。でも自ら、身体で感じよう、と思うのは簡単なようで難しい。それがストレートに伝わってきて、シンプルで説教臭くないという点でもいい作品でした(特におじいさんの、おしつけがましくない語りは秀逸だ)。
キアロスタミ恐るべし。この監督の評価が高いのも、これを観て納得しました。何百億もかけずとも、俳優が素人でも、いくらでもいいものって作れるんですよねえ。
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